ラグジュアリーブランドは、これまで十分にサービスを受けてこなかったコミュニティのニーズに徐々に応え始めており、先駆的なアプローチを通じて障害や適応的慣行に対応することで、包括性のギャップを縮めることを目指しています。重要なのは、こうした変化を調整ではなく、シンプルな公平性として捉えることです。つまり、すべての消費者のニーズに応える製品やサービスを生み出すことです。
：ファッションの新しい顔：包括的なブランドや文化を育むには、表現力が不可欠です。ラグジュアリーな世界から排除されがちな障がいを持つ消費者にとって、可視化することは最初の重要なステップです。世界保健機関（ WHO ）によると、世界人口の16％が目に見える障害を持っているにもかかわらず、ガーディアン紙によれば、目に見える障害を持つモデルはファッションキャンペーンの0.02％にしか登場していません。注目すべきは、Sinéad O’Dwyer（シネイド・オドワイヤー）のようなファッションデザイナーが、さまざまな能力、サイズ、人種のモデルを起用することで、多様性を受け入れていることです。
：顧客が利用しやすい店舗体験：すべての人が利用しやすい店舗体験の提供も不可欠です。障がいを持つお客様がラグジュアリー空間を自ら移動できるようにすることが、さらに重要となります。グッチは、アクセシビリティアプリ「Aira」と提携 し、視覚障がいを持つ方々に、グッチの店舗やオフィス、イベント会場で無料の視覚支援を提供しています。このアプリでは、店舗レイアウトや想定される障害、商品カテゴリー、試着室、レジカウンターの位置などが説明されています。
：適応性に優れた衣服の基準：誰もが購入しやすい魅力的な衣料品を創り出すことは、適応性デザインに関する話題を、機能面から、適応性ウェアとラグジュアリーファッション界の融合へと移行させる、さらなる機会となります。Werableは、まさにそれを実現しています。芸術的なインスピレーションと、掴みやすいリングファスナー、医療器具用の縫い目利用ポケット、片手で開閉できるマグネット留め、自由に調節できるウエストバンドなど適応性に優れた機能を融合させています。
話し合ってみましょう：顧客にとって、身近なファッションとはどのようなものでしょうか？業界がすべての消費者を代表していることを確かなものにするために、ラグジュアリーが果たす役割について話し合いましょう。
Image: Sinéad O'Dwyer（シネイド・オドワイヤー） 2023春夏ファッションショー
Image: コーチ財団による「Dream It Real（ドリーム・イット・リアル）」イニシアチブ
多様性、公平性、包括性への取り組みは、形式的なものにとどまらず、真の変革の実現を目指しています。ラグジュアリーブランドは、次世代の人材に好ましい変化を促すために、コラボレーションと透明性に重点を置いています。
：ジェンダー平等のためのコラボレーション： 透明性と説明責任を証明するため、ラグジュアリーブランドは社会の改善に尽力する外部組織と提携しています。2024年4月、ディオールとユネスコは、教育、公平性、包括性、ジェンダー平等を祝うため、最先端のグローバル会議を共同開催しました。このイベントでは、LVMHグループ、メゾンディオール、ユネスコの代表者らが講演を行い、さまざまな分野における女性の権利とエンパワーメントを提唱しました。
：パフォーマンスを超えた進歩：英国ファッション協議会（British Fashion Council）が発表したDEIに関する初の報告書では、包括的なブランドが考えているブランド像と現実との乖離が明らかになりました。英国の調査に回答した白人男性のうち、業界に多様性がないと考える人はわずか14％でしたが、この割合は有色人種の女性では54％、障がいを持つ人では48％に増えました。
LVMHの「 It's everyone's business（すべての人に関わること） 」は、ラグジュアリー複合企業の多様な現実を浮き彫りにし、190カ国の国籍、4世代、80カ国に展開する従業員たちが抱える課題を彼らの言葉で伝えることで、透明性と理解を促進することを目的としたシリーズです。
：包括的に人材の力を引き出す：業界に多様な人々がアクセスできるようにすることもまた、課題の1つです。ラグジュアリーファッション業界では、成功を収めるためにさまざまなバックグラウンドを持つ人材を採用する必要があります。例えば、コーチはDream It Real（ドリーム・イット・リアル）イニシアチブを通じて、全世界で17万人以上の学生を支援し、経済的な障壁を克服するための奨学金を5,279人に授与しました。さらにコーチは、コーチとタペストリーから選ばれたメンターと学生をペアにすることで、学生の業界への就職を支援し、縁故主義の解消にも取り組んでいます。
話し合ってみましょう： 顧客とブランドとの関係と、その環境、社会、ガバナンス（ ESG ）の成果について話し合ってください。 これは、ブランドに対するイメージやブランドロイヤルティにどのような影響を与えるでしょうか？
